ニッポン、カヤック釣り紀行
積丹半島・北海道 前編
ニッポン、カヤック釣り紀行
積丹半島・北海道 前編
SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN
BY LODGE MONDE
松本潤一郎
ニッポン、カヤック釣り紀行
「積丹半島・北海道編」vol.1
SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN BY LODGE MONDE
西伊豆を拠点にMTBツアーやカヤックフィッシングツアーを手がけるBASE TRESの松本潤一郎氏。彼が綴る「ヤイヤイ通信」というブログを、当ジャーナルでもご紹介させていただけることになりました。 松本氏の魅力溢れる生き方は、その文章にも存分に現れています。ニッポンをカヤックで釣りわたる紀行文や、西伊豆での暮らしの様子もお伝えしていく予定です。
今年の6月も3週間の休暇で北海道へ。去年は緊急事態宣言が発令されていたこともあり、ロッジモンドは完全に休館にして出かけて行った北海道のカヤック釣り旅。今年は宿業務をスタッフにおまかせし、週末だけに予約を絞ってゆっくりと営業を続けていました。
年に1か月ほど休暇をとるのだけれど、「よくそんなにまとまった休み取れますね、うらやましいな」、と、言われる。そう言ってくる人のだいたいが会社員か公務員。毎年付与される有給をつかえば1か月は難しくても2.3週間くらいは休めるでしょといつも思う。休みを取れないじゃなくて取らないだけ。休む権利を行使していないだけ。このまとまった自由な時間をつくるために、いろんなリスクを取りながら自分で事業をやっている。
今回の北海道は大洗からのフェリーを使わず、往復青森の大間岬まで自走で往復したので走行距離は4000㎞を超えた。トレーラーにカヤックを3艇積み込み、4人の子供たちを車に押し込んでの大移動。たっぷりとした時間がないとやれない旅のスタイル。
青森の八戸、函館に1泊ずつしながら積丹(しゃこたん)町へ。今回もお試し移住の物件を積丹町から借り、ここを拠点に1週間暮らす。
ひとまず手ごろな堤防でエゾメバルと遊ぶ。北海道ではガヤと呼ばれているこの魚はどこに行ってもたくさん釣れるので子供たちの釣り練習にはもってこい。2インチくらいのソフトルアーや小型のジグで飽きるほどによく釣れる。この魚影の濃さは、ちょっと本州では考えれない。
移動の疲れを取るために数日の休息をとってから、長女のあこやとカヤックで積丹の海へと漕ぎ出してみる。今回は6月になると回遊してくるというあぶらの乘った積丹のブリと、シーズン最後の居残りサクラマス狙い。気温は24℃くらいなのに水温が14℃ほどでけっこう低い。念のためにセミドライスーツを着て海に出るが、暑すぎてふらふらになるのですぐに脱ぎ捨てた。北海道の人たちのどんなレイヤリングでやっているのだろ?
透明度は高く、海藻もたくさん育っている。岩場に張り付く黒い物体はすべてウニだ。
ブリやサクラマスの反応を魚探で探りながら、水深40m付近を探ってみたがめぼしい反応を見つけられず、沖にはイルカの大きな群れが飛び跳ねていた。イルカの群れが去ったあとにナブラが立つも、不発。夕飯のおかずにホッケを2尾釣り終了。
北海道では船検付きのゴムボートをトレーラーに積んで週末に釣りを楽しむ人が多い。土地が広くて保管場所に困らないためだろうか。カヤックフィッシングの方が圧倒的に少ない印象。イメージがぜんぜんなかったけれど、この時期の積丹はヒラメが好調だったみたい。サクラマスには遅く、ブリには少し早すぎるようだった。
遊漁船やゴムボートの人たちが良く使う仕掛けを教えてもらった。「三角バケ」というらしい。集魚効果を狙った形状で、ロッドのジャークでスライドするそう。これにリーダーを付けてワームや毛ばり、イワシなど取り付けて誘うとヒラメが食ってくるとか。伊豆の海でも試してみようと思い、ひとつ購入。結構高い。4,000円くらいした。マゴチやイトヨリダイ、アマダイなんかにも使えたら面白そうだな。ロストが怖いので砂地限定で試してみよう。
天候が悪い日が続き、積丹半島でまともにカヤックで釣りに出られる日はこの1日だけとなった。近隣の余市へ出かけたり、温泉に浸かって散歩するだけの日々。3月から5月までがイベント出店や年度末の事業報告などに追われていたので、何にもしない、ゆっくりと過ごす時間が久しぶりに取れた。
インバウンド需要とかワーケーション整備とか簡単に口に出して言葉だけがポンポンと走って行くけれど、「インバウンドの人たちと同じ規模の休暇」「リモートで働きながら遊ぶ」、これをぼくたちみたいな提供側がさっぱりやっていないから張りぼてみたいなものが世の中に溢れるのだ。と、思ってる。
後編へ続く